親権・養育費
親権者を誰にするか
未成年の子がいる場合には、離婚後の親権者を夫婦のどちらにするか決めなければ離婚はできません。離婚届には親権者を記載する欄があり、親権者の記載がない場合には、受け付けてくれません。つまり、先に夫婦の離婚だけ受け付けてもらい、子の親権者指定は後で決めることはできないのです。
当事者の協議で決めることができますが、子どもの生活、福祉を考えて決めることが大切で、親のエゴや離婚の際の意地の張合いなどで決めるものではありません。
子どもを離婚後も夫婦の共同親権とすることはできません。
必ず夫婦の一方が親権者となります。また、子が数人いる時は、それぞれの子について親権を決めなければなりません。
夫と妻に分けることもできます。
子どもの年齢と親権者
衣食住全般にわたって子どもの面倒を見なければならないので、母親が親権者になる例が多い。
子どもの精神的、肉体的な発育状況によって、子どもの意思を尊重するとの取り扱いがされています。
子どもが自分で判断できるので、子どもの意思を尊重します。
20歳を過ぎれば、親権者の指定の必要はありません。
親権とは
親権というのは、法律的には、「身上監護権」と「財産管理権」とに分けられます。
子どもの身の回りの世話をしたり、しつけ、教育をしたりすることです。
子どもに財産があればこれを管理することであり、また子どもが法律行為をする必要がある場合に、子どもに代わって契約、訴訟などの法律行為をすることを言います。
これは子どものための制度であり、親のための権利ではありません。
親権を二つに分けて考えることは合理的なことですが、特に定めをしないかぎり、両方とも親権者がすることになります。
離婚の場合、「身上監護権」の部分を親権から切りはなして、親権者とは別に監護者を定めることができます。
面接交渉権とは
離婚後、親権者または監護者にならなかった方が、子どもに面会したり一緒に時間を過ごしたりすることを面接交渉と言い、その権利を面接交渉権と言います。
この面接交渉権は、民法などの条文に規定された権利ではありませんが、判例や家庭裁判所の実務でも認められています。
面接交渉を認める場合には、条件を具体的に、詳細に決めておくことが必要です。それをしておかないと、将来の争いのもとになるようです。書面にしておけばよいでしょう。
養育費
養育費とは、未成熟の子供が社会人として自立するまでに必要となる、すべての費用のことを言います。
親は未成熟の子を養育し自分と同程度の生活を保障する義務があります。
未成年の子の父母が離婚した場合、父又は母のいずれかが親権者となりますが、養育費は、どちらに親権があるかに関係なく、双方が経済力に応じて分担しなければなりません。
養育費の金額、支払方法については、まず父母の話し合いで決めます。話し合いの調整がつかない場合は、裁判所での調停・審判で決めることになります。
調停・審判では、父母の財産や収入、子どもの必要生活費など、個々の家庭の事情を考慮して決定しますので、それぞれのケースによって金額は異なってきます。
子ども一人で2万円~4万円、二人の場合で4万円~6万円といった金額が多いようです。
父母の話し合による協議で養育費について決める場合は、分担額や支払の方法、支払期間などを具体的に定め、取り決めた事項は、離婚協議書等の書面にしておきましょう。
また、金銭に関する取り決めは、強制執行認諾文付きの公正証書にしておくことをおすすめします。支払いが滞るなど、約束が守られない場合には直ちに強制執行をすることができます。