2011年09月06日
不貞行為とは

2011/ 9/ 5 17:45
きび大福と桃のワイン
ごちです!!
さて、話はだいぶ変わるんですが、先日、電話相談にて、『別居している間にダンナが浮気をしたんです。なのに、私が友人の男性とメールをした事実を取り上げて、お前だって浮気をしているじゃないかと言われたんです』という方がいらっしゃいました。
民法770条1項1号
『夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。』
男女の付き合いでどこからが不貞行為なのかという線引きは、離婚を求める裁判を提起できるかどうかにかかわってくるし、不貞行為=不法行為として慰謝料の請求もできるようになるのでとても重要です。
たとえば・・・
既婚者が、いかがわしい風俗のお店に行ったら即不貞行為になるのでしょうか。
電話の方のように異性との親しいメールのやり取りも不貞行為になるのでしょうか。
すでに夫婦の関係が別居などにより破綻しているのに、異性と関係を持ったら不貞行為?
異性とは限らず、同性と関係を持ったら・・・!?
判例はどう述べているのかというと、
最高裁 昭和48年11月15日判決
『不貞行為とは、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思に基づくものであるか否かは問わない』
つまり、判断のポイントは、肉体関係があるか否か、それが自由な意思に基づくものか否か、ということです。
あてはめて考えてみるに、異性の友人とどんなに親しいメールのやり取りをしても、肉体関係がないので不貞行為にはあたりませんが、一度だけとはいえ、いかがわしい風俗のお店に行って、そこの店員さんと肉体関係を結んでしまったら、それは不貞行為に該当するでしょう(ただし、本人が反省をし信頼を取り戻す努力をするなど、夫婦関係が修復できる見込みがある場合には離婚が認められないこともあります)。
また、たとえレイプによって強制的に肉体関係を結ばされたとしても、それは明らかに自由な意思に基づくものではないため、不貞行為にはあたりません。しかしこちらがレイプする側だった場合(たとえば夫が強姦の罪で有罪になった場合)それは(夫に)不貞行為があったとして当然離婚事由に該当します。
では、同性愛は不貞行為にあたるのでしょうか。
これは明確に宣言した判例はないのですが、あたらない、と解されているようです。
地裁の判例。
名古屋地裁 昭和47年2月29日判決
結婚数ヵ月で夫が同性愛者になってしまい、妻にまったく性的関心を持たなくなり、特定の男性と付き合うようになったという事案で、
裁判所は、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当するとして、離婚を認めました。
同性愛行為は、不貞行為(民法770条1項1号)ではなくて、婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)に該当するようです。
・・・そうそう、ここまで述べてきた不貞行為にあたるか否かの検証ですが、たとえ不貞行為には該当しないとしても、このオールマイティーな『婚姻を継続し難い重大な事由』とやらに該当してしまえば、結局は離婚事由になってしまいますからね。
だから、異性の友人と極度に親しいメールのやり取りを何度もしていたことで夫婦の信頼関係が失われ、夫婦生活が修復できないほどに破綻するなんてことがあれば言語道断です。
それから、たとえ配偶者以外との肉体関係があったとしても、その時すでに夫婦生活が破綻していた、というのであれば、それは離婚事由としての不貞行為には該当しません。
夫婦関係が破綻、とはわかりやすく言えば長く別居状態にあるような時です。
不貞行為がなぜ離婚事由に挙げられているのかというと、それは夫婦生活を破綻させる重大な裏切り行為だからです。ですからすでに夫婦生活が破綻していたというのであれば意味がない、というのが判例のようです。
最高裁 平成8年3月26日判決
『甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である。けだし、丙が乙と肉体関係を持つことが甲に対する不法行為となるのは、それが甲の結婚共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであって、甲と乙との婚姻関係が既に破綻していた場合には、原則として、甲にこのような権利又は法的保護に値する利益があるとはいえないからである。』
・・・さて、こうしてみてみると、はじめのほうに書いた相談者の方のケースは、妻も夫も不貞行為には該当していないようですね。
投稿者 司法書士拓実リーガルオフィス